ル・ウェンフーと、ファン・アンシアの葬儀を終えた、 マー・フォンライの前に、
ウェン・スージェイが姿を見せた。
彼にとって、師と仰ぐル・ウェンフーとの因縁浅からぬ人物ではあるが、
棺に向かう彼を憎む気持ちにはなれなかった。
「覇王別姫」の衣装を着せたことを喜び、自分も化粧を申し出る彼に今だに残る、
京劇への情熱を感じたせいかもしれない。そして、それが二人にとっての始まりでもあった。
ファン・アンシアの父、ファン・メイリンの劇場を、ウェン・スージェイの雇い主が
手に入れたがっていたが、ファン・アンシアの死後、所有権はファン・メイリンの弟子でもあり、
盟友の子、ウェン・スージェイに移っていた。
そして彼のために罪を犯したワンの娘、ワン・ホアリェンと結ばれることも選んでいたのだ。
そのことで、上海の裏の顔ワンとの関係は続くが、劇場はそのままに、いや逆に手を入れられ、
昔の面影を取り戻しさえしたのだった。(縄張りとして、必要で有ったので、娘婿に譲った形になる。)
ウェン・スージェイは、再び京劇の世界に戻った、しかし、もはや役者ではなく、自らの師の残した物、
友の残した物を受け継ぎ受け渡そうとしていた。
何より、マー・フォンライの存在が彼を、引き戻したのだった。
マー・フォンライにとっても、亡き師ル・ウェンフーの遺志を受け継ぎ、
一人前の京劇役者として世に出るには、まだ若すぎた、ウェン・スージェイは、
彼の二人目の師となったのだ、夢を今度こそ、夢のままにしないための、二人の歩みが始まった。
時を重ねるごとに、マー・フォンライは、その素質と純粋さで日々成長していった。
幾つかの舞台もこなし、その名も有名になっていったが、しかし二人の中に何か、
欠けて居る者がある気がしていた。彼等にとっての新たな姫である。
幾つかの公演の中で、師の叶わなかった夢 「覇王別姫」 は、演じていた、
しかしこの人と言う相手には、出逢えていなかった。
そんな彼等の前で、見よう見まねながら、演じてみせる幼い姉弟が居た。
ウェン・スージェイの子供達である。
彼は自分の経験上無理に子供達に京劇をやらせようとはしなかった、
しかし、無邪気に演じる二人を見て、今更ながら血の恐ろしさ、強さを知った想いであった。
その時から、子供達への稽古が始まった。新たな姫を、夢を引き継ぐ覇王を育てるべく…。
と、ここまで書いて、話を進めようと思ったのですが、イメージしてたら、膨らんできてしまいました。
このお話を、形にするなら、子供達が主人公にしたら、面白いものになるかなって…。
姫にあたるのが、上の子供、女の子になります。
アンシアの例から、女性では駄目な世界であることを承知で、京劇の世界に女として挑んでいきます。
そして、兄のように慕ってきたフォンライに、想いをよせることになる。
でも、フォンライにとっては、年が離れすぎていることから受け入れられないで居る。
しかし成長するにしたがって、美しくなる彼女に戸惑いを感じています。
そして、新しい覇王になるべき、男の子、姉への想いと、兄弟子であり、師でもある
フォンライへの尊敬と反発。
父親 スージェイの語られない過去に、次第に気づいていったとき、二人の子供達は、
どう生きる道を選ぶのでしょう。
それらを考えたら、上手くしたらまた、一作仕上げられたりして…。
問題は、中国名が思いつかないことと、何より配役したくても、雪組さんって生徒知らない…。
後回しにして、書くっていう手も、有りはあり何ですがね。
でも、やっぱり中国についての歴史的な知識も欲しいし、
京劇も少しは勉強しないと、なぞるだけになるだろし。
それでは、悲しすぎる。いろいろ問題有るけど、この作品ってやっぱり難しいよ…。
紫野
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